社会保険労務士(社労士)の選び方、活用の仕方、付き合い方

社会保険労務士(社労士)との付き合い方

 - 働きやすい環境をつくるためのパートナー - 社会保険労務士(社労士)とは、企業の成長に必要なカネ・モノ・ヒトの「ヒト」を専門とする国家資格をもつプロフェッショナルのことです。

 労働・社会保険に関連する法令遵守と、事業の成長や労働者が働きやすくなるよう助けるのが、社会保険労務士の役目となります。 

社労士に依頼できる業務や検討時のポイントを伺いました。 企業が社労士を検討する3つのタイミング 社労士との契約を検討されやすい3つのタイミングがあります。 

1.会社を立ち上げ従業員が増え始めたとき 事業をはじめて従業員数が増え始める際には、給与計算や保険関連の手続きなど基本的な業務についての依頼をされる方が多い傾向にあります。 

2.従業員が30名前後となり、労務トラブルが発生し始めたとき また従業員30名前後となると、うつ病やパワハラ、評価に関する労務トラブルが発生し始めます。そのため、労務トラブル対応や労務トラブル回避のための就業規則の作成の依頼が多く見られます。

 3.IPO準備で法令遵守などが必要となったとき IPO準備段階に入ると、それまでの労務管理で法令遵守を確認・対応しつつ、今後法令遵守を継続できる体制づくりに関する依頼が中心となります。 

会社としてこれらのタイミングに近い場合は、社労士をご検討でない場合でも人事労務管理を見直すのがおすすめです。 

人事労務担当にプラスして行なう社労士への依頼とは 人事労務担当というのは、市場でも経験者が多くなく、経験者といっても特定業界の1-2社を経験したことのある担当者がほとんどでしょう。

特に大企業での経験者は一部の業務にしか触れていないこともあります。 

関係する業務を正しく行っていくために、専門知識のある社労士の力を借りるというのは、一つの方法でしょう。 複数業界・複数企業のナレッジを活かした人事労務管理 人事労務管理は、業界や企業規模、従業員の平均年齢などにより、ポイントも異なります。 

たとえば、従業員の平均年齢をとってみても、20代〜30代の従業員が多ければ有給休暇や産休・育休制度の整備が重要になり、50代〜60代の従業員が多ければ定年や介護休暇の整備などが重要となる、といった具合に、フォーカスが変わってきます。

 また企業規模によって業務内容が変化するため、大企業で経験を積んできた人が、中小・ベンチャー企業に転職しても入社後すぐに活躍できるとは限りません。 労務管理や人事管理担当者を雇用する場合、特定の業界・企業の経験を持っていても、いま在籍する会社で活用できる経験が十分にあるとは、一概には言えないものです。  

様々な企業の労務・人事に通じた専門家である社労士からは、客観的にアドバイスを得ることができます。社労士のナレッジを活用し、よりよい環境づくりのために、自社に必要なものを明らかにしてみましょう。 アウトソーシングとしての社労士 従業員数の少ないフェーズでは、採用担当者が労務管理も兼任している企業が多く見られます。

しかし、人事労務の業務は多岐に渡るため、細やかな対応が必要で繁閑の激しい採用業務を兼任していると、業務の抜け漏れやミスが起こりやすくなります。このような場合には、一部の業務を社労士にアウトソーシングすることで、業務を滞りなく効率的に進めることが可能です。  

一方で従業員数が増加したフェーズでは、労務専任の担当者を採用する企業が多く見られます。しかし、企業の成長に伴って、対応が必要な労務管理業務が増えると同時に、労務トラブルも発生するようになり、自社のみでは対応しきれなくなるケースも多くなります。

このフェーズでは、社労士とアドバイザリー契約を結ぶのもよいでしょう。 毎月の給与計算データで労務トラブルの予兆に気づく 様々な企業での顧問業務を行なう社労士から言えることに「ヒトにまつわる情報のほとんどは給与計算から見て取れる」ことが挙げられます。

勤務時間や残業の多さ、休暇取得の状況、仕事量と給与が見合っているかなど、給与計算に関する数字から労務トラブルにつながる要素を見てとることができます。 給与計算は自社で行い社労士が毎月アドバイザー/確認役として入る方法や、給与計算から社労士に任せてしまう方法がありますが、こうしたポイントに気づいて指摘やアドバイスを行える社労士と付き合えるよう、社労士探しを行ってみてください。 世間話の内容から労務環境の改善アドバイス 優れた社労士は、数字を見てアドバイスを行うことに加え、経営者や労務担当者との世間話の中からも職場環境にまつわるヒントを得てアドバイスを行なう姿勢を心がけています。 

たとえば、不自然な休み方をしている従業員がいれば、理由を伺いながら、メンタルヘルス不調やパワハラなどの問題が潜んでいないかを考えます。お子さんが生まれたことを伺った従業員の扶養手続きをしながら、その方の昇給を示唆することもあります。家族が増えるタイミングは、収入を上げようと転職を考えるきっかけとなるものです。 定例の業務の中で従業員の状況を客観的に観察し、労務トラブルや退職につながるかもしれない芽に気づき早期に対応することは、社労士ならではの大きな役割となります。 

企業の状況にあう就業規則の作成 就業規則の作成においても、社労士に依頼するケースが多く見受けられます。その際におすすめなのは、単発で就業規則の作成を依頼するというよりは、顧問契約を結び、労務トラブルを相談していく中で企業の状況にあわせて就業規則を作成することです。

 一度就業規則ができあがった後も継続して相談していくため、発生しそうな労務トラブルを予見し先回りして就業規則に追加する、といった対応が可能になります。 人事制度づくりに対するサポート 会社が大きくなると、人事制度の導入・改善を行なう企業が増えてきます。人事制度づくりについては、コンサルティング企業が主導で行なうこともありますが、法令遵守の観点から、一度は社労士へ確認を依頼しておくことがおすすめです。 

制度変更は法的に問題ないか確認を入れる 従業員にとって不利益に働く労働条件の変更は合理的理由なしには認められておらず、法律面のチェックを行わないで制度変更をすると労務トラブルにつながる可能性があります。 自社に合う制度が見つかり、いざ導入するときには、労働契約法で禁じられている「不利益変更」に当たらないかの確認を必ず行なうようにしましょう。 

目新しい人事制度による他社との差別化の落とし穴 目新しい人事制度は耳障りの良いものですが、導入の際にはその企業の状況に合ったものか、デメリットはあるのか、法的に問題はないか、といった視点が重要です。 その点、長期的なお付き合いが前提の社労士に依頼すると、様々な企業からの知見にもとづき、企業に合った制度であるかや法的に問題ないか、など相談することが可能です。 社労士の顧問料とは 社労士の顧問料は、企業規模や依頼内容により異なります。

一つの目安としては、トータルの顧問契約で、月あたり正社員を一人雇うよりは安価に済む程度のコスト感です。 社労士事務所によっても料金テーブルが変わってきますので、社労士を検討されている場合は、まず気になる事務所から見積もりをとってみましょう。 

「人事労務管理」の定期的な見直しのススメ 企業の根幹に関わる業務を当たり前にこなしつつ、企業が成長するために欠かせないのが人事労務管理です。自社での人事労務管理を定期的に見直し、基本を徹底しながら会社規模や社風にあった働きやすい環境づくりを進めていってください。その中で社労士を検討される場合は、自分ごととして関わり、必要な手立てを適切なタイミングで打つことのできる社労士を探してみてはいかがでしょうか。  

佐藤憲彦オフィシャルブログ

日本で唯一のナポレオン・ヒル米国財団本部認定トレーナー資格を持つ社会保険労務士の佐藤憲彦 “人と組織のリーダーシップを開放し各々の目的に導く”人事部長のいない会社の為の社外人事部です

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